調査リリース・ホワイトペーパー152本を集計|BtoB企業が選ぶテーマと出し方

調査リリースやホワイトペーパーを出したいのに、テーマや回答数、配り方で迷っている担当者の方へ。BtoB企業が3か月に出した152本を数え、選ばれるテーマとアンケートの人数、結果の見せ方をまとめました。
調査リリースやホワイトペーパーを出そうとして、企画の段階で手が止まっていませんか?
同業の会社は何を出しているのか。アンケートは何人に聞けば足りるのか。資料はフォームの奥に置くべきなのか。気になることは多いですよね。
ムジンでも、ホワイトペーパーの企画を考えるたびに、同じところで迷います。
答えを探しても、目に入るのは話題になった数本の調査リリースだけです。それだけを見て決めるのは心もとないものです。
そこで、3か月分のBtoB向けの調査リリースとホワイトペーパーを、1本ずつ数えました。誰が、どんなテーマで、何人に聞いて、どう配っているのか。この記事で、その全体像をお見せします。

ホワイトペーパーって、調査をしないと作れないんですか?

集めた152本のうち65本は、調査を伴わない解説資料でした。

152本って、どんな会社が出したものなんですか?

PR TIMESで3か月に公開されたものを、1本ずつ同じ物差しで分類しました。発表元は105社、10の業種に分かれています。
この記事の要旨
- 1
出しているのはマーケ支援とIT・SaaSで7割です
- 2
アンケートの回答数は中央値360人で足りています
- 3
アンケートの58.1%は本文で結果を見せていました
誰が、どんなテーマで出している?

まずは、調べた範囲からです。
対象は、PR TIMESで2026年8月から10月に公開された、BtoB向けのプレスリリースです。調査リリースとホワイトペーパーの公開を告げたもの152本を集めました。発表元は105社です。
1本ずつ、発表元の業種、テーマ、調査の形、回答数、配布の形を分類しました。
調査結果そのものの数字は扱っていません。見たのは「どんな会社が、どんな資料を、どんな形で出しているか」です。
出しているのは、ほぼ2業種
最初に、発表元の業種です。次の図を見てください。

いちばん多いのは、マーケ・広告・PR支援の会社で62本(40.8%)でした。次がIT・SaaS・AIの会社で47本(30.9%)です。
この2業種で、全体の71.7%を占めています。
マーケ支援の本数には、1社で23本を出した会社が含まれます。この1社を除くと、IT・SaaS・AIの47本が最多です。どちらで数えても、この2業種が上位2つなのは変わりません。
この2業種が多いのは、資料を出すこと自体が本業の宣伝になるからだと考えています。
マーケ支援の会社にとって、調査リリースは自社サービスの実演です。IT・SaaSの会社は、検討中の人に向けて「選び方」を資料にしやすい立場にあります。
逆に少なかったのが、事業会社です。物流・不動産・建設は2本、金融・会計は1本、製造などその他の事業会社も2本でした。
こうした業種では、同業の中で比べられる相手がまだ少なく、先に出すだけで目立てます。
テーマの4分の1以上がAI
次は、テーマを見てみます。

上位は「マーケ・広告・Web集客」の24本(15.8%)と、「生成AIの業務活用」の23本(15.1%)です。その次に「AI検索・SEO」が19本(12.5%)で続きます。
AIに関わる2テーマを合わせると、42本。全体の27.6%です。
生成AIのテーマで目立ったのは、使い始めた後の悩みでした。導入の失敗例、社内ルール、業務ごとの使い分けといった題材が並びます。
AI検索・SEOは、AIの回答に自社がどう載るかを測ったものが中心です。
一方で、ESG・健康経営は5本(3.3%)、DX・IT投資・データは6本(3.9%)と少数でした。人事・採用・育成も13本(8.6%)にとどまります。
各社、本業のすぐ近くを選んでいる
業種とテーマを掛け合わせると、もっとはっきりします。次の図を見てください。

マーケ支援の会社62本のうち、マーケ・AI検索・営業のテーマが合わせて50本でした。割合にすると80.6%です。
IT・SaaS・AIの会社47本では、セキュリティと生成AIのテーマが29本、61.7%でした。コンサル・シンクタンクの14本では、経営・財務・コストが8本を占めています。
真似るべきなのは、流行りのテーマより「本業に近い」という一点です。
題材が本業から離れると、読んだ人が次に何を相談すればよいか見えません。
AIのテーマは数が多いぶん、本業との結びつきがはっきりしていないと埋もれてしまいます。

やっぱりアンケートは、1,000人くらい聞かないと相手にされないですよね?

回答数が分かる39本のうち、1,000人以上は7本でした。

え、じゃあ残りは何人くらいなんですか?

いちばんの山は300人台です。次の章で分布をお見せします。
アンケートは何人に聞いている?

152本のうち、何らかの調査を伴うものは87本でした。いちばん多いのはアンケート調査で、62本(71.3%)です。
残りは、公開情報・市場の分析が14本(16.1%)、自社データ・実測が11本(12.6%)でした。
公開情報の分析とは、統計データを使った地域ランキングなどです。自社データ・実測には、自社ツールの利用ログや、AI検索の出現を毎月測ったものが入ります。
回答数の中央値は360人
1,000人規模の調査が主流だと思っていましたが、そうではありませんでした。
アンケート62本のうち、回答数が読み取れた39本を並べたのが次の図です。

300人以上500人未満の14本が、いちばんの山になっています。
回答数の中央値は360人です。ちょうど300人の調査が7本と、最も多くありました。1,000人以上の調査は7本でした。
いちばん小さい調査は54人、大きい調査は2,216人です。
回答者を「マーケティング担当者」「管理職」「人事担当者」のように、職種で絞った調査が目立ちました。300人前後の調査でも、題名に人数を入れて堂々と発表されています。
最初の1本なら、ここから始めてみませんか。
少ないからこそ効く、自社データ
自社データ・実測の11本は、数こそ少ないものの強みがあります。競合が同じ数字を作れないことです。
自社ツールのログや支援実績が貯まっている会社は、アンケートより先にそちらを検討する価値があります。
ムジンがBtoB企業のメルマガ2,447通を数えた調査も、この自社データ型の1本です。
▼自社データ型の調査の例は、こちらの記事で詳しく書いています。
BtoBメルマガ2,447通を全件調査|件名・配信時間・文字数・ボタンの実態

苦労して調べた結果を、タダで見せるのはもったいなくないですか?

アンケート62本のうち36本は、本文で結果を見せるだけでした。

それで、リードは取れるんですか?

取り方は2通りありました。使い分けを見ていきましょう。
結果はフォームの奥?本文?

意外だったのが、配り方です。調査の形によって、はっきり分かれていました。
次の図を見てください。

アンケート調査62本のうち、36本(58.1%)はリリース本文に結果を載せるだけでした。別の資料は案内していません。
資料のダウンロードを案内していたのは、24本(38.7%)です。
フォームの奥に置くのが当たり前だと思っていたので、半分以上が本文で結果を見せていたのには驚きました。
書籍やレポートとして有料で販売していたものも、2本ありました。
調査なしの解説資料が4割
もう1つ目立つのが、図のいちばん下の「解説資料」です。
152本のうち65本(42.8%)は、調査を伴わない解説資料型のホワイトペーパーでした。題名には「ガイド」「チェックリスト」「進め方」といった言葉が並びます。
解説資料の65本は、すべて資料のダウンロードを案内していました。本文では概要だけを示し、中身はダウンロードで読む形です。
解説資料には、調査より早く出せるという利点があります。
1社で23本を出した会社と、7本を出した会社は、すべて解説資料でした。同じ型の資料を、テーマだけ変えて続けて出しています。
2つの使い分け方
ここから、調査リリースには2つの使い方があると分かります。
1つは、結果を本文で広く見せて、認知と被リンクを集める使い方です。もう1つは、結果の一部だけを本文に出し、詳しい集計を資料にして渡す使い方です。
後者はリードの獲得につながります。ただ、本文で見せる情報が少なすぎると、取り上げてもらいにくくなります。
業種別や規模別の詳しい集計は、資料に回します。そうすれば本文だけでも記事として成り立ち、詳しく知りたい人だけがダウンロードに進みます。

1本出したら、しばらくは休んでもいいですよね?

実際、105社のうち90社は、3か月で1本だけでした。

多数派なら、ひと安心です。

裏を返すと、続けて出すだけで目立てるということです。
続けて出す会社は、ひと握り

最後に、出す頻度を見てみます。
105社のうち90社(85.7%)は、3か月で1本だけでした。
2本以上出したのは、15社です。この15社が合わせて62本、全体の40.8%を出していました。次の図を見てください。

85.7%の会社が1本で止まる中で、ひと握りの会社が全体の4割を出しています。
型を決めて、連作にしている
本数の多い会社には、共通点がありました。同じ型で続けていることです。
最も多かった1社は23本。そのうち22本は、10月22日から30日の9日間に出ていました。
2番目の7本は、1つの制度対応をテーマに、切り口を変えた解説資料の連作です。3番目の5本は、業種ごとのコスト削減策に「9月版」のような月の版を付けたレポートでした。
毎月号を出す定期レポート
題名に「8月号」「9月版」のように月を入れた定期レポートは、15本(9.9%)ありました。
そのうち9本は、AI検索・SEOのテーマです。AI検索・SEO全体19本の、47.4%にあたります。
AIの回答や検索結果の変化を毎月測り、同じ形で出し続けている会社が複数ありました。
1本だけの調査は、話題になっても忘れられがちです。毎月同じ指標を測れば、前月との比較そのものが新しい情報になり、読み手も次号を待ってくれます。
▼ムジンも、セミナーの動向を毎月同じ形で集計しています。
マーケティングセミナー・ウェビナー動向|業種・テーマ・共催の割合を毎月集計

結局、自社では何から決めればいいんですか?

テーマ、使うデータ、回答数、配り方の順です。

この順で決めると、企画の段階で止まりにくくなります。
自社で1本目を出す手順

ここまでの集計を、自社で調査リリースやホワイトペーパーを出すときの手順にまとめました。
上から順に決めていくと、迷う場面が減ります。
出す前のチェック手順
- 自社の本業と、読み手が次に相談したくなる内容がつながるテーマを選ぶ
- 同業他社が過去3か月に出した調査リリースとホワイトペーパーを並べ、重なりを確かめる
- 自社ツールのログや支援実績など、自社にしかないデータがないか先に洗い出す
- アンケートにするなら、回答者の職種を1つに絞り、300人前後で設計する
- 題名に回答者の職種と人数を入れる
- 結果のうち本文に出す3〜5点と、資料に回す詳しい集計を分けておく
- 資料をフォームの奥に置くか、本文で全部見せるかを、目的(認知かリードか)で決める
- 半年後か1年後に、同じ質問で再調査する前提で設問を作る
- 調査リリースと一緒に、手順を整理した解説資料を1本用意する
調査で関心を集め、解説資料で相談につなげる。この組み合わせを1セット作っておくと、次の号も同じ型で出せます。
よくある質問
調査リリースのアンケートは何人に聞けばよいですか?
300人前後で十分です。回答数が分かる39本の中央値は360人で、ちょうど300人の調査が7本と最も多くありました。職種を絞った調査なら、この規模でも発表の材料になります。
ホワイトペーパーは調査をしないと作れませんか?
調査なしでも作れます。集めた152本のうち65本(42.8%)は、手順やチェックリストを整理した解説資料型でした。調査で関心を集め、解説資料で相談につなげる組み合わせも有効です。
調査結果はフォームの奥に置くべきですか?
目的で決めてください。アンケート調査62本のうち58.1%は、資料を用意せず本文で結果を公開していました。認知を広げたいなら本文で主な結果を見せ、リードを取りたいなら詳しい集計を資料にして渡す形が向いています。
まとめ
今回いちばんの発見は、話題の調査リリースほど大がかりではなかったことです。300人前後の回答で、職種を絞り、本業のすぐ近くのテーマを選ぶ。アンケートの半分以上は、結果を本文でそのまま見せていました。
大きな予算がなくても、型どおりに組めば1本目は出せます。そして、続けて出す会社はまだひと握りです。
最後に、要点をもう一度だけ並べます。
- どの会社も本業のすぐ近くでテーマを選んでいます。マーケ支援の会社では80.6%が本業の領域でした。
- アンケートは、回答数の中央値360人で十分に発表されています。
- アンケートの58.1%は、結果を本文で見せていました。
まずは、自社に貯まっているデータを洗い出してみてください。自社データ・実測の調査は87本中11本と少なく、それだけで他社と重なりにくい題材になります。
ムジンでは、BtoB企業のマーケティングに役立つ資料を無料で公開しています。調査レポートやホワイトペーパーの企画を検討中の方は、資料ダウンロードのページもあわせてご覧ください。
調査の方法
- 対象は、PR TIMESで2026年8月1日から10月31日に公開されたプレスリリースです。
- BtoB向けの調査レポート、実態調査、白書、ホワイトペーパーの公開を告知したもの152本を集めました。発表元は105社です。
- 集め方は、PR TIMESのサイト内検索とキーワード一覧、Web検索の3通りです。
- 共同調査で複数社が同じ内容を出したものは、1本に数えました。
- 業種、テーマ、調査の形、配布の形は、題名とリリース冒頭の文章からムジンが分類しました。1本は1つのテーマに入れています。
- 発表元の業種は、リリースに書かれた事業内容で決めました。
- 回答数は、アンケート調査62本のうち題名や本文から読み取れた39本で集計しました。
- 全体の傾向を見るための集計で、発表元の社名や資料名、調査結果の数字は掲載していません。
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